2017年9月3日日曜日

鎮静と忘却

注:この話は、2002年頃に書かれたフィクションです。現在の麻酔管理方針とは異なる部分もありますし、表現が適切でない部分がありましたらご了承下さい。
 
 手術に際して行われる麻酔は、「麻酔」とひとくくりにされがちである。しかし、その方法はひとつではない。
いろいろな分類法が存在するが、ここでは大きく、全身麻酔と局所麻酔(主に脊髄くも膜下麻酔)の二つに分けて考えてみたい。
どの方法をとるかは、手術の部位や内容・予定時間、合併症や全身状態、加えて患者の希望など様々な条件を加味し、麻酔科医が決定する。
前者の全身麻酔は、意識も記憶も、全身の痛みもない状態をつくり出すことを意味する。これは、医療従事者でなくとも、イメージしやすいであろう。
後者の局所麻酔では、簡単に言えば手術をする周辺部位のみを鎮痛する、と考えてほしい。話を分かりやすくするため、今回の話では局所麻酔=脊髄くも膜下麻酔に固定して説明する。
たとえば、子宮摘出術や虫垂切除術(いわゆるモーチョー)では、脊髄くも膜下麻酔で胸の乳頭の高さ付近より下を完全に鎮痛できれば、安全に手術を行えるといわれている。全身麻酔との大きな違いは、この状態では意識がある、ということだ。患者が、術者や看護師と雑談しながらの手術も可能である。
しかし現実には、局所麻酔で鎮痛したうえで、多少語弊があるが「軽く眠らせて(鎮静して)手術をする」方法を選択することができる。
 この「局所麻酔+鎮静」の方法と、先に述べた「全身麻酔」とは、似ているが別物である。この違いは、医者であっても、麻酔科医でなければ理解していない人のほうが多いくらいなので、簡単に説明しよう。
「全身麻酔」は、意識がなくなるうえに、頭のてっぺんから足の先まで、痛みを感じなくなる状態である。「局所麻酔+鎮静」は、部分的に痛みの感覚がなくなった上に、意識を落とす状態だ。つまり、眠っているのだが、局所麻酔の効いていない肩や顔に刺激を加えれば、痛みを感知して手が動いたりする。なお、「局所麻酔単独」では、手術を行う部位周囲は鎮痛されているが、意識はある。
 部分的にしか痛みを取らないような半端なことをするぐらいなら、総て全身麻酔にすればいいだろう、と思われるかもしれない。医師の中からでも、そういった意見は出る。
だが全身麻酔の状態を作ると、まず呼吸抑制が起きるため、気管挿管・人工呼吸など厳重な呼吸管理が必要になる。さらに血圧など循環動態に与える影響も大きい。局所麻酔で行う場合よりも、一般に使用薬剤の種類は増えるので、麻酔薬の臓器への影響も考慮しなければならない。簡単に言えば、局所麻酔よりも、体に与える負担が大きいのである。だから、局所麻酔で行える範囲の手術は、わざわざ全身麻酔にしないことが多い。
一般的には、「局所麻酔単独」<「局所麻酔+鎮静」<「全身麻酔」の順に、麻酔法として大掛かりになってゆく、と言える。大掛かりは前記のように、体への負担が大きいので、できるだけ避けたいのである。

ではどのようなときに、「局所麻酔をした上に、軽く眠らせる」という折衷案のような方法を用いるのか。これは、手術の大きさから見て全身麻酔をかけるまでもなく、局所麻酔で十分だが、意識はないほうが望ましい、という状況だ。
簡単に言えば、「患者の精神状態を安静に保ちたい場合」である。局所麻酔が十分に効き、痛みがなかったとしても、手術操作の不快感、恐怖感などからどうしても眠らせてほしい、と希望する患者がいる(歯科治療を想像していただきたい。十分に麻酔されていても、意識がある限り、歯を削られたり、抜かれたりする感触は、分かるものだ)。また、手術室の雰囲気自体や、手術中の術者の会話、医療器械の発する音が怖いから、という理由もある。患者の精神状態に何らかの問題があり、術中に手や首の安静を保ってもらえない場合も、適応となる。
 次に、「術中の環境を患者に知らせないほうがよい場合」である。
 例えば、最近は少ないが、未告知の患者の癌の手術において患者の意識がある場合は、そこにいる全員が気をつかわなければならないだろう。どんなに気をつけていても、口が滑るということはあるし、術者の会話が制限されるために手術に支障をきたすのもよくない。やはり眠ってもらうに限る。
 また、新しく導入された手術器械を初めて使用するような場合である。事前にどれだけ練習しても、当然「ある医師が、それを初めて患者に使う」状況は、必ず起こる。手術に慣れていても、道具に慣れていなければ、なかなか手術は進まない。医者と器械業者が「ここどうするの?」とか「あ、先生違います。反対に回してください!」などと話しながら、試行錯誤しながらやっている場面は、正直患者本人に見せたくない。おそらく患者も見たくないであろう。
 こういった場合は、あらかじめ患者に、鎮静の必要性を状況に合わせて、話しておく。しかしこうなると、「医療側の都合」といえなくもない。もちろん、このような理由で眠らせるというのは、避けられるのであれば避けたほうがよい。どんな薬剤にだって、副作用の可能性はある。簡単に意識を落とすというが、呼吸状態の悪化など、危険は存在する(これを軽視した場合、麻酔事故の原因になる)。
 
局所麻酔下に行われた手術の途中、ある都合で「軽く眠らせた」結果、ちょっとした事件がおきた一例を紹介しよう。
帝王切開は、場合によるが一般的には脊髄くも膜下麻酔・全身麻酔の両方で行うことができる。
 雪国医大病院では、とくに大きな理由がなければ脊髄くも膜下麻酔を選択することが多かった。
 このメリットは、
    母親が覚醒しているため、誕生の瞬間を共有できる。これは出産後の母児関係確立の観点からも、重要視されている。
    帝王切開の全身麻酔自体の技術が多少難しく(従ってトレーニングを積んだ麻酔科医によって行われる場合が多い)、危険性も高くなる。これを避けられる。

「カイザーです! 胎児心拍が下がっています。すぐに手術室に移動します。麻酔法はお任せします」
 カイザーとは、帝王切開のことである。
 短い産婦人科医からの内線電話から、胎児を救うには、今すぐにでも帝王切開を行う必要があることが伝わってくる。
 電話から十分後には、妊婦はもう手術台の上に載せられていた。
麻酔は脊髄くも膜下麻酔で行うこととなった。腰から針を刺し、くも膜下腔という脊髄周辺の部位に鎮痛薬をばらまくことで、手術周辺の部位の痛覚を遮断してしまう麻酔法である。
「じゃあ、横向きにしますよ。背中を消毒します…では、次に少しチクっとします」
麻酔を担当したのはまだ医者になって一年目の私だったが、麻酔はスムースにかかった。薬液を注入して三分後には足の先から乳頭の高さまで、しっかり鎮痛されていた。点滴とエフェドリンという昇圧剤の使用で、血圧もしっかり保たれている。
「じゃあ、すぐ手術始まりますからね。赤ちゃんが出るとき、おなかが押されたり引っ張られたりしますけど、そこだけはガマン、ですよ」
「あー、緊張してます。よろしくお願いします」
妊婦と会話している間に、お腹の消毒は終わり、清潔野が作られる。
「じゃあ、よろしくお願いしますね」
術者の産婦人科医が、言い終わるよりも早く、メスを入れていた。
皮膚、脂肪層、筋肉、腹膜と、お腹をどんどん切り進めて行く。開始二分ほどの間に子宮が切り開かれ、赤ん坊の頭が顔を出す。
 しかし…羊水やら血液ではっきり見えないが、赤ん坊は正常に比べてかなり色が悪い。これでは赤ちゃんというより、青ちゃんである。助手が母親の上腹部を押し下げ、執刀医が青ちゃんを引っ張り出して、その全身がライトの下で照らされた。
「やっぱり! こんなに巻いているぞ」
臍帯(いわゆる臍の緒)が、三回半も赤ちゃんの首に巻きついていた。これが胎児仮死の原因であろう。
通常は娩出されるとすぐに泣き出すのだが、その子は呼吸さえもしていないように見えた。
 すぐに横で待機している小児科医グループに渡され、処置が行われる。
 娩出直後の赤ちゃんは、背中を叩いたりさすったりされると自分で呼吸を始めるものだが、その兆候もなさそうだ。すでに小児科医が、挿管(気管の中に管を入れ、人工呼吸すること)を試みていた。
 母親は、手術室のなかの緊迫した空気を感じ取ったようだ。
「どうして泣き声が聞こえないの?ねえ先生?」
 執刀医は無言で、胎盤を引っ張り出した。
 小児科医は蘇生に必死だ。
「・・・・・・」
私は固まってしまった。なにせ麻酔科医は患者の枕元に立っている。仰向けになっているお母さんの視界に入っている医者は、私一人であり、当然距離も最も近い。普段は「聞こえますか、元気に泣いていますね」などというシーンだが、このような場面は経験がなく、なんといっていいか分からない。「心配ないですよ」と言える状況でもない。
「ねえ、大丈夫なの? 赤ちゃん死んじゃったの?」
 母親は首を左右に強く振り、ついに泣き出してしまった。もはや不穏状態である。
麻酔科の上司である風魔先生がいつから見ていたのか、私の背中をつついた。
「こんなのダメじゃん。赤ちゃん挿管されてるじゃん。お母さん心配するから寝かせなよ」
 と言い、点滴ラインからミダゾラムという鎮静薬を入れ、さっさと手術室から出て行ってしまった。
 これがまさに先に述べた、「術中の環境を患者に知らせないほうが(医療従事者側の精神状態にも)よいと判断し、眠らせた」状況である。
 鎮静薬は著効し、騒ぎ始めていた母親は表情が和らぎ、おとなしくなった。風魔先生の絶妙なさじ加減である。母親は軽く鎮静されているが、グーグー眠るほどではない、という最適の状態になった。手術室内には、術野の血液や羊水を吸引する、残り少ないジュースをストローで吸っているような音だけが響き続けた。
 人の声がしない数分間。
突然、赤ちゃんの大きな鳴き声が手術室内に響き渡った。蘇生がうまくいき、不要になった人工呼吸用の管はもう抜けている。ピンク色になった手足を突っ張って、自分で懸命に呼吸している。もう大丈夫だろう。小児科医はほっとした表情で赤ちゃんの背中をさすり続け、助産師は全身の羊水をふき取る。
 
脊髄くも膜下麻酔での帝王切開では、感動の「母児対面」のシーンがある。それは、産まれた赤ちゃんの安全が確認された直後に、手術室内で行われる。つまり、まだ母親のお腹を閉じている真っ最中である。
「ほら、お母さん、はじめましてー。おちんちん、ついてますねー。元気ですよ」
助産師が赤ちゃんを緑色の布に包み、母親の顔の横まで抱いて連れてきた。
ここで初めて母親は、さっきまでおなかの中にいたわが子の姿を見ることができるのだ。
「良かった…よろしくね」
 先ほどの不安な表情とは打って変わった笑顔。さっきとは別の涙でいっぱいである。
「お母さん、赤ちゃんに触っても大丈夫ですよ」
「じゃあ、一緒に記念写真撮りましょうね。はい、お母さん、笑って」
数分の対面の後、赤ちゃんは沐浴や体重測定などのために、一足先に病棟へ帰って行った。
 すでに子宮の穴は縫い合わされ、後はおなかを閉じるだけである。
 しばらくは満ち足りた顔をしていたお母さんは、疲れたのか軽く寝息を立て始めた。一仕事終えた妊婦は、手術終了を待たずに眠ってしまうことがよくある。だがここでは、児との対面という、いわば精神状態に対する覚醒刺激がなくなったことで、先ほどの鎮静薬の効果が前面に出てきて眠ってしまったと考えるのが正しいであろう。
 そして数分後、お腹の皮膚を縫っている最中、突然ばしっと開眼したお母さんは私にせっつくように言った。
「あの、赤ちゃんは生まれたんですか?」
「え…?、さっき会いましたよね」
「お・・・覚えてないです。赤ちゃんは、どこに行ったんですか」
(しまった)
さっき風魔先生が入れていった鎮静剤のせいだ。ある種の鎮静剤は「健忘作用」を持ち、薬剤が効いている間、一見意識が保たれて会話が可能でも、後になって聞いてみるとその間の記憶がないということがありうる。
もちろん、鎮静剤を投与した瞬間は、それも狙っていた。こどもが大変な状況になっている場面を、見せずには済んだ。だがそれに続く感動の瞬間も、彼女は全く覚えていなかった。風魔先生が鎮静剤を投与した瞬間には、まさか赤ちゃんがすぐに持ち直し、手術室で母児対面できるなど、ありえないことだと思っていたのである。きっと赤ちゃんは、このままNICUに直行すると思われたのである。
「脊髄くも膜下麻酔だったら、赤ちゃんにすぐ会えるって思ってたのに…」
「えーと、うー…ん、ご、ごめんなさい」
「生まれる瞬間が、一番大事なとこなのに。背中刺されて痛いところしか覚えていないなんて、ひどいです」
(やったのは、風魔先生です。それも良かれと思って…)
辛い状況に直面させないために、とっさにこちらのとった対応は、結果的に逆効果になってしまった。
母児対面の際に、助産師がとったスナップ写真が現像されるまで、私はお母さんに文句を言われ続けるのであった。
 後で風魔先生に報告すると、「そりゃー大変だったねー」と妙にうれしそうな顔をしていた。



本番で示したスライドと、Q&Aの回答



2016A8 プロポフォールに関して正しいのはどれか。

(1) 蓄積作用が強い。
→静脈麻酔薬の中では「弱い」方。
(2) 静注時に血管痛がある。
→あります。
(3) 乳化製剤として投与される。
→プロポフォール白いですよね。
(4) 術後の悪心嘔吐を抑制する。
→効くんです
(5) 小児の麻酔導入には禁忌である。
→禁忌ではないですよ。(ICUでの長期大量投与に注意)


2016A52 正しいのはどれか。
(1) ミダゾラムには健忘作用がある。
→順行性健忘作用
(2) ミダゾラムはせん妄を誘発する。
→する。使いすぎはよくない
(3) デクスメデトミジンは呼吸抑制が強い。
→弱い方。ただし、肥満・睡眠時無呼吸患者では舌根沈下に注意
(4) デクスメデトミジンはα1 受容体作動薬である。
→ α2作動薬です(α1, α2 ,β1, β2作用は調べましょう)
(5) デクスメデトミジンはフルマゼニルで拮抗できる。
→できません。できるのはミダゾラム、ジアゼパム。


2016A53チオペンタールについて正しいのはどれか。

(1) 弱アルカリである。
→強アルカリ。点滴漏れや動脈穿刺に注意。
(2) けいれん誘発作用がある。
→痙攣抑制作用。脳保護療法
(3) 気管支喘息に禁忌である。
→禁忌です
(4) 頭蓋内圧低下作用がある。
→あります。脳保護療法
(5) ポルフィリン症には禁忌である。
→禁忌です。滅多にいませんが。

2016A51 ケタミンについて正しいのはどれか。

(1) 呼吸抑制が強い。
→弱い。試験的にはケタミン・デクスは呼吸に影響少ない
(2) 鎮痛作用がある。
→ある
(3) 麻薬指定されている。
→されている。金庫のなかを見て下さい。
(4) 頭蓋内圧低下作用がある。
→頭蓋内圧を上昇させる
(5) ショック患者には禁忌である。
→むしろ適応である


9/1および9/2の内容

週末の忙しい中、長時間の受講大変お疲れ様でした。
さて、まず暗記用の正文集です。
症例問題の解答や、その他の内容は「ホーム」をクリックして、

※ページ数は、テキスト第三版に準拠しています。

1 上気道閉塞の原因は主に三つある。①舌根沈下、②軟口蓋による閉塞、③喉頭蓋による閉塞である。(p211)
2 脳血流を保つ方法をまとめると、血圧を上げるか、頭蓋内圧を下げるか、脳血流を増やすか、脳血管抵抗を下げるかである(p266)。
3 頭蓋内圧を下げるにはPaCO2の減少、高浸透圧輸液、バルビツレートを投与する、などの方法があり、それに加えて脳灌流圧を50 mmHg 以上に保つように血圧を上昇させる 。プロポフォールは脳血流を減少させる(p266)。
4 吸気および呼気の二酸化炭素分圧を連続的に測定し、経時的に曲線で表したものをカプノグラムという。(p304)
5 全身麻酔には、①意識の消失、②無痛、③筋弛緩、④有害反射の抑制の4 要素が必要であると指摘した。今でもこの概念は通用し、この四つの条件を過不足なく満たす麻酔薬が望まれるが、いまだに単一の薬物ですべての条件をクリアする理想的な麻酔薬は開発されていない(p423)
 注意:麻酔三要素(鎮痛・鎮静・不動(筋弛緩)に、有害反射の抑制を加えて四要素ということもあります。
6 麻酔薬には、吸入麻酔薬と静脈麻酔薬がある。鎮静作用を有し就眠を促すが、臨床濃度での鎮痛作用は、亜酸化窒素(笑気)を除きほとんどない。P423
7 プロポフォール麻酔は術後悪心・嘔吐(PONV:postoperative nausea and vomiting)の頻度が低い利点がある p512
8 プロポフォールは静脈内投与時に血管痛があることが欠点であるが、この痛みはプロポフォールの投与直前に少量のリドカイン(20ー40 mg)を投与することで軽減可能 p512
9 プロポフォールで麻酔導入したのち、セボフルランで維持 (p512)するのが一般的。導入と維持両方にプロポフォールを用いる方法もある(p512)
10 プロポフォールは添加物として大豆や卵黄成分を含むので、これらの食品にアレルギーがある患者も注意すべきである。P512
11 チオペンタールは強アルカリ性であるので、血管外漏出に注意。喘息患者、ポルフィリン症には禁忌 p513
12 チオペンタールはロクロニウムとの混合しないように注意する(懸濁する)。続けて投与する場合は、点滴ラインを生食などでフラッシュする(テキストにはないが大事なので加筆)
13 ベンゾジアゼピン系の鎮静薬は、ミダゾラム(midazolam)が標準になっている。鎮静作用に加えて健忘作用も有し、投与量と効果の関係は個人差が大きく、しかも静脈内に投与してから適切な鎮静効果が得られるまでの時間が比較的長いため。(p513)
14 フルマゼニルの作用持続時間がミダゾラムのそれよりも短い場合がある(p513)。
15 デクスメデトミジン(dexmedetomidine hydrochloride)はα2 アドレナリン受容体の完全アゴニストであり、青斑核や脊髄が作用部位である。(P514)
16 デクスメデトミジンは通常投与量では鎮痛作用は弱いが、薬物相互作用によりオピオイドの必要量を減量することができ、呼吸抑制作用が少ないため気道確保されていない症例でも安全に使用することが可能である。P514
17 デクスメデトミジンは徐脈、血圧低下の副作用がある。p514
18 ケタミン(ketamine)には交感神経刺激作用があるため、血圧低下が起こりにくく、自発呼吸も保たれやすい特徴があるp514
19 ケタミンを使用すると、気道分泌が増えるため、分泌抑制目的でアトロピンを併用する場合がある。頭蓋内圧を亢進させるため、頭部外傷や脳出血、脳腫瘍などの患者には投与しないほうが賢明である。P514
20 ケタミン麻酔からの覚醒時に悪夢を見ることが多いといわれており、ベンゾジアゼピンの併用が予防に有効 p514
21 麻酔薬によって意識を消失すると、上気道が閉塞しやすくなる。P529
22 意識消失および仰臥位によって気道閉塞のリスクは増加する。P529
23 呼吸中枢は、PaCO2 増加、PaO2 低下に対して換気量を増加させる機能をもつ。(p530の図を参照)
24 (p530の図を参照)麻酔下では点線で示したように、特定のPaCO2 およびPaO2 における換気量が減少するとともに、PaCO 2の変化に対する換気量の変化率が低下する。p529
25 揮発性麻酔薬: PaCO2 上昇およびPaO2 低下に対する反応が減弱するp529
26 麻薬性鎮痛薬の特徴は呼吸数の減少が著明で、一回換気量が増加することが多い点であるp529
27 ベンゾジアゼピン系薬剤に対しては拮抗薬としてフルマゼニル(0.2ー1.0 mg)を投与するp586
28 麻薬による意識の変化で特徴的なものとして、呼吸回数の減少がある。P611
→そもそも、呼吸数を数えるクセをつけましょう。
29 拮抗薬は、投与後速やかに効果を発揮するが、その作用時間が遷延薬剤の効果消失時間より短い場合、拮抗された薬剤が再び作用発現することがあるp611
30 拮抗薬を用いる際の注意:基本的には、遷延薬剤の自然消失を待ち、拮抗薬は診断的投与にとどめることが望ましい。P611
31 術後せん妄のリスク因子:高齢者、認知症、Frailty(虚弱性)、術中出血、睡眠障害、疼痛、ベンゾジアゼピンの使用(p615)
32 特にミダゾラムなどベンゾジアゼピンは、せん妄への関与が疑われており、代替薬としてプロポフォールやデクスメデトミジンの使用を勧告するガイドラインもある。
33 換気状態の3 段階評価分類(V1~V3) p792の表をかけるようにしましょう。


次に、穴埋めです。上記の正文集と対応しています。
回答です。

1 上気道閉塞の原因は主に三つある。①(    )②(    )による閉塞、③(    )による閉塞である。(p211)
2 脳血流を保つ方法をまとめると、血圧を(  )げるか、頭蓋内圧を(  )げるか、脳血流を(  )すか、脳血管抵抗を(   )かである(p266)。
3 頭蓋内圧を下げるにはPaCO2の(   )、(   )輸液、(   )を投与する、などの方法があり、それに加えて脳灌流圧を(   ) mmHg 以上に保つように血圧を上昇させる 。プロポフォールは脳血流を(   )させる(p266)。
4 吸気および呼気の(    )を連続的に測定し、経時的に曲線で表したものをカプノグラムという。(p304) 
5 全身麻酔には、①(  )の消失、②(   )、③(  )、それに加えて④(   )の抑制の4 要素が必要である。この四つの条件を過不足なく満たす麻酔薬が望まれるが、いまだに単一の薬物ですべての条件をクリアする理想的な麻酔薬は開発されていない(p423)
6 麻酔薬には、吸入麻酔薬と静脈麻酔薬がある。鎮静作用を有し就眠を促すが、臨床濃度での鎮痛作用は、(     )を除きほとんどない。P423
7 プロポフォール麻酔は術後悪心・嘔吐(PONV:postoperative nausea and vomiting)の頻度が(  )い利点がある p512
8 プロポフォールは静脈内投与時に(   )があることが欠点であるが、これはプロポフォールの投与直前に少量の(     )を投与することで軽減可能 p512
9 プロポフォールで麻酔導入したのち、セボフルランで維持 (p512)するのが一般的。導入と維持両方にプロポフォールを用いる方法もある(p512)
10 プロポフォールは添加物として(   )や(  )成分を含むので、これらの食品にアレルギーがある患者も注意すべきである。P512
11 チオペンタールは(    )性であるので、血管外漏出に注意。(   )患者、ポルフィリン症には禁忌 p513 
12 チオペンタールはロクロニウムと(   )しないように注意する(懸濁する)。続けて投与する場合は、点滴ラインを生食などでフラッシュする。
13 ベンゾジアゼピン系の鎮静薬は、(    )が標準になっている。鎮静作用に加えて健忘作用も有する。静脈内に投与してから適切な鎮静効果が得られるまでの時間が比較的(   )い。(p513)
14 フルマゼニルの作用持続時間がミダゾラムのそれよりも(  )い場合がある(p513)。
15 デクスメデトミジン(dexmedetomidine hydrochloride)は(    )受容体の完全アゴニストであり、(   )や(   )が作用部位である。(P514)
16 デクスメデトミジンは通常投与量では鎮痛作用は(  )いが、薬物相互作用によりオピオイドの必要量を(   )することができ、呼吸抑制作用が(   )ため気道確保されていない症例でも安全に使用することが可能である。P514
17 デクスメデトミジンは徐脈、血圧低下の副作用がある。p514※投与開始後血圧があがることもある
18 ケタミン(ketamine)には交感神経(   )作用があるため、血圧低下が起こりにくく、自発呼吸も保たれやすい特徴があるp514
19 ケタミンを使用すると、気道分泌が(   )ため、(    )を併用する場合がある。頭蓋内圧を(   )させるため、頭部外傷や脳出血、脳腫瘍などの患者には投与しないほうが賢明である。P514
20 ケタミン麻酔からの覚醒時に(   )を見ることが多いといわれており、(    )の併用が予防に有効 p514
21 麻酔薬によって意識を消失すると、(   )が閉塞しやすくなる。P529
22 意識消失および仰臥位によって気道閉塞のリスクは増加する。P529
23 呼吸中枢は、PaCO2 (  )、PaO2 (   )に対して換気量を増加させる機能をもつ。(p530の図を参照)
24 (p530の図を参照)麻酔下では点線で示したように、特定のPaCO2 およびPaO2 における換気量が(  )するとともに、PaCO 2の変化に対する換気量の変化率が(  )する。p529
25 揮発性麻酔薬: PaCO2 上昇およびPaO2 低下に対する反応が(  )するp529
26 麻薬性鎮痛薬の特徴は呼吸数の(   )が著明で、一回換気量が(  )することが多い点であるp529
27 ベンゾジアゼピン系薬剤に対しては拮抗薬として(   )を投与するp586
28 麻薬による意識の変化で特徴的なものとして、呼吸回数の(  )がある。P611 
→そもそも、呼吸数を数えるクセをつけましょう。
29 拮抗薬は、投与後速やかに効果を発揮するが、その作用時間が遷延薬剤の効果消失時間より(   )い場合、拮抗された薬剤が再び作用発現することがあるp611
30 拮抗薬を用いる際の注意:基本的には、遷延薬剤の(   )を待ち、拮抗薬は診断的投与にとどめることが望ましい。P611
31 術後せん妄のリスク因子:(  )齢者、認知症、Frailty(虚弱性)、術中(  )、睡眠障害、疼痛、(   )の使用(p615)
32 特にミダゾラムなどベンゾジアゼピンは、(   )への関与が疑われており、代替薬としてプロポフォールやデクスメデトミジンの使用を勧告するガイドラインもある。
33 換気状態の3 段階評価分類(V1~V3) p792の表をかけるようにしましょう。